私はIT関連ベンチャー企業(20名規模)の経理部門に勤める者です。
1月20日前後の新コロナウイルス関連報道を受け、弊社役員が対応策を協議し、1月最終週からのリモートワーク(テレワーク)導入が決定しました。
リモートワークの導入は早かった
経営者も導入当初は多少悩んでいましたが、香港近くのシンセンの企業との付き合いがあったことから、中国での感染拡大情報を掴んでいたこと、会社で備品として発注したマスクが品薄で出荷が遅れていたなどの事情があったことから、最後は社員の健康面を勘案して導入を決めたようです。
結果的には日本の企業としては最も早い時期でのリモートワーク(テレワーク)を導入になり、報道機関からも問い合わせがあったほどです。当初は2月末までの期間限定でしたが、日本での感染拡大を受けて、3月末まで期間は延長しています。
IT企業経理のリモートワーク
私の場合は特に経理という事務系職種だったので、まずは経理の観点からメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
経理という職種は既にフリーランスなども活躍している分野で、リモートワーク(テレワーク)との相性が良く、ノートパソコンとクラウド会計システムを利用していたことから、業務における支障というのはほぼありませんでした。
以前にも決算繁忙期においては、自宅で仕訳の起票やチェックを行うことがあったので慣れていたという側面もあります。
場所が会社であるか自宅であるかだけの違いなので、事務作業であればほとんどがリモートワーク(テレワーク)で対応可能だと思います。
リモートワークのデメリットとしては、WEB明細やメールでの請求書送付などに対応していない証憑については、オフィスに出勤している別部署の社員にPDFの送付をお願いしなければなりませんでした。
そこについては、出社をしている同僚に若干負担を強いている部分があるので、心苦しいというところはありました。
slack、hangout、zoomの使用でトラブル無し
リモートワークを始めるにあたって、会社としては「始業時間にSlack(社内コミュニケーションツール)に1日の仕事の予定を書くこと」、「月曜日の午前にSlackの通話機能を使った全体ミーティングを行うこと」の2つをルール化していました。
このルールにプラスして、各部門では必要に応じてslackやhangout、zoomなどを使って頻繁にコミュニケーションをとっており、特段のトラブルは発生しませんでした。
セキュリティ面に関しても、オフィス内の設定は特に厳重にしていたので、問題とはなりませんでした。
リモートワークを成功させる条件は?
会社としてリモートワークを導入するにあたっては、ハード面の環境整備が必要です。
リモートワークが可能な職種に関してはノートパソコンを導入する(セキュリティ対策含む)と共に、特定の場所(オフィス)からしかアクセスできないサーバーではなく、Gドライブなどで管理していくことを進めるべきです。
それと同時に証憑類を紙で管理している会社もまだまだ多いと思いますが、これも極力排除してデジタル化を進める必要があります。
勤怠管理…時間ではなく成果で評価する企業文化を
次にソフト面で重要になるのが勤怠管理です。
私の会社も社員は就業規則上は時間の概念で縛りがありますが、基本的に残業は禁止し、働いた時間ではなく成果を評価するという視点を経営者・社員の双方が持っていたことから、比較的スムーズに導入することができたと思います。
ハード面とは違って資金面だけで何とかなる問題ではないので、小手先の規程変更だけではなく会社の文化として成果を重視する方向に持っていく必要があると思います。
実際に私の古巣の老舗化学メーカーはソフト面が旧態依然だったので、リモートワークが必要な状況において柔軟に対応できていないと聞いています。
通勤から解放されて家事分担も
これらのハード面とソフト面の改善ができた場合、社員採用で勤務地の制約がなくなるという意味で、より有能な人材にアクセスできる可能性が高まるというメリットが出てきます。
また労務面で見ても、リモートワークは子育て世代の支援策としても有効になるので、新コロナウイルスが終息後もこの働き方には要注目ではないかと個人的には思います。
最後に社員としてリモートワークを捉えた場合は、メリットが多くあります。
まず私は自宅から職場までの通勤時間が約2時間弱(片道)だったので、残業を抜きにしても午前7時半~午後8時までは仕事に拘束される毎日でしたが、リモートワークに切り替わったことにより通勤時間から解放されたので、洗濯や買い物などの家事の分担を自分が一部担うことができました。
これまでは家事のほとんどを妻に任せきりだったので、家庭での家事分担という観点からは理想的な形になりました。また、通勤地獄から解放され、睡眠時間も確保できるようになったことから、日々の疲労感もかなり軽減されました。
収入や仕事のクオリティを保ったまま、これらのことを実現できているということが個人としてのメリットになると思います。