私は自動車関係の企業に勤めておりソフト開発部門で働いています。
ソフト開発部門とは言ったものの、実際にソフト開発を行う業務ではなく、仕様の設計を自分たちが行いソフトの実装は下請け会社にお願いしています。
コロナ以前のリモートワークの実態
働き方改革の推奨により、ここ数年で、リモートワークに関する働き方が新規で追加され、以後毎年のように規則が変更されてきました。
しかしながら、コロナウイルス以前の規則では、リモートワークを活用できる社員の範囲は限定的であり、育児・介護が必要な社員限定だけでした。
それに加えて、上司に対しては事前に詳細な計画書の提出と承認が必要となっており、計画書の記入に多くの工数を取られるため一般の社員としてはあまり縁のない制度でした。
リモートワークの手法としては、主に会社支給のPCを用いてVPNで会社サーバー内の自身のアカウントに接続します。
子供のいる家庭に対してリモートワークを拡大
コロナウイルス関係でリモートワークの規則が変わり始めたのは、小中学校休校が決定したタイミングです。
この決定以後、子供を持つ家庭ではリモートワークの使用が推奨され社内雰囲気も使用してもおかしくないといった具合になりました。
しかしながら、リモートワークの際には、週に何日かは実際に出社することが求められました。
緊急事態宣言に大きく変わったリモートワーク
リモートワークの規則が大きく変わったタイミングは、国の緊急事態宣言は発表されたタイミングです。
宣言から数日後、役員の一声があったようで、可能な社員に対してはリモートワークを強く推奨する方針に変わりました。
しかしながら、会社として事前に用意していたVPN、通信インフラ環境では到底、全社員を一度にリモートワークすることは厳しく、リスクの高い社員から順に対象範囲を拡大する方法で対応していました。
具体的には育児・介護が必要な社員→妊婦、基礎疾患を抱えている社員→公共交通機関を利用する社員→その他の社員、といった優先順位でした。
リモートワークを経験して気づいたこと
私自身がリモートワークを行って気づいたことをいくつかまとめてみます。
成果を意識して仕事ができる
会社内で働くよりも、より成果物を意識した業務の取り組みが可能でした。
機密情報の取り扱いに関しては、社内の機密情報取り扱いルールをそのままリモートワークにも適用していたため、リモートワークだからといってできない業務は少なかったです(リモートワークを実施する場所もオフィスの一部として考えられていたためです)。
リモートワークの問題点
会社の通信インフラ環境が、整っておらず対象範囲が公共交通機関を利用する社員に拡大した段階で、VPNが接続できない通信障害が発生しました。
また成果物が残らない業務(プレゼンの発表のためのストーリーの検討や、仕様設計のアイディアの検討)に対して、評価されずらい。
計画書は必要だが監視は不要
私の会社の場合、リモートワークを実施する場所もオフィスの一部として考えられていたため特別な業務の監視はありませんでした。
ただし事前に実施する業務の計画書を提出し成果物を上げることは重要視されていました。計画書の運用をしっかり行えば、監視の必要はないと思います。
制限付きの会議
通信障害により、メンバー間での会議はうまくいっていませんでした。
通信しづらい状況かつ、同時に2人以上が発言するとさらに音声が聞きづらくなるため、通常の会議よりもより最小限の人数で行うことが求められました。
機密情報の扱い
基本的には機密情報に関してはVPNで接続した先のサーバー内にのみ保存し、ローカルでの保存を禁止していました。
しかしながらこれらを監視するツール等はなく、あくまで自己責任でした。
リモートワークに不安があっても始めることが大切
私の会社ではリモートワークが迅速に普及しなかった原因として、全社員でアクセスした場合に通信障害が発生してしまう可能性が最後まで解消しきれていなかったからです。
しかしながら、実際に全社員が利用しなければならない状況に陥った時、確かに通信障害は発生したものの、各個人が自発的に業務する時間を変更したり、アクセスの少ない時間にあらかじめデータをダウンロードしておくといった工夫を取っていたため、通信障害が発生しながらも業務の継続はできていたと思います。
したがって組織に対するアドバイスとして、通信インフラ環境に不安である場合でもまずは迅速にリモートワークを実施して、障害がある中でもやれる業務は何なのか?やれない業務は何であるか?を振り分けて実施することが重要だと思います。