私はクラウドベンダーのITエンジニアとして会社勤めをしております。
感染予防のためにリモートワークが推奨されるようになった2020年2月よりも、ほんの少し早くリモートワークを経験することになりました。
IT企業でリモートワークを導入した理由
私が勤めるIT系の会社は20名ほどですが、そのうちの10名は外国籍のエンジニアです。
元々は9時から18時までのいわゆる通常の勤務形態でしたが、外国籍のエンジニアが半数を占めていることもありリモートワークで仕事がしたいという声が現場から多く出てきました。
リモートワークを当然と考える外国籍のエンジニア
海外は日本に比べてリモートワークが普及していることもあり、外国籍のエンジニアからしたら、なぜ会社にわざわざ来なければならないのかという見え方になったのかもしれません。
最も多かった声は、エンジニアという職種固有の理由ともいえるもので、「パソコンさえ手元にあれば仕事はできる」というものでした。
仕事をする場所は関係ないので、会社で働いても、自宅で働いても成果が同じであればどこで働いても同じではないか、という現場からのボトムアップの声がリモートワークを考えるきっかけでした。
わざわざ会社に来るために往復の電車通勤をする時間を削減し、ストレスのかかる満員電車に乗る心理的負担の軽減、家庭の事情で自宅でしか働けない人も社員として活用できるという人材の有効活用。そして、リモートワークでも会社にいるのと同様に仕事の成果もきちんと出す。これらの観点からリモートワークを実践することに大きなメリットがあると会社が判断し、リモートワークがスタートしました。
リモートワークの成功要因は?
リモートワークの導入は大成功といえる結果になりました。
それにはいくつもの要因があったと思います。
最初は少人数からスタート
リモートワークを開始をしましたが、いきなり全社員という訳ではなくまずはエンジニア数名から段階を追って制度の範囲を拡大することになり、数名のエンジニアがリモートワークを実践しました。
その結果、会社に来て8時間働く成果と同等もしくはそれ以上の成果を出す事が実証できました。
サボる人はいない?監視を行わないで正解だった
実はリモートワーク制度の導入を決めた最初のうちは、ひとつの懸念がありました。
それはリモートワークをするということは仕事をしている姿を見る事ができない。つまり本当に仕事をしているのかどうかが分からなくなるので仕事の進捗が悪くなるのではないかという懸念でした。
露骨に表現するなら、「サボる従業員が出るのでは?」という疑いがあったのです。
一部では業務を監視する手段が必要という意見もありましたが、結果的にその心配は無用でした。
もし、業務の監視を行った場合、社内のチームワークに亀裂が入る可能性もありました。リモートワークをする上ではチームの信頼関係が担保されていれば監視は必要ないと感じました。
エンジニアの成功体験を感じた後はリモートワークの普及はとても早かったです。
エンジニアの次にバックオフィスの部署、最後には外出活動が多い営業部までリモートワーク制度の導入が進みました。
リモートワークのメリット
リモートワークのメリットは通勤の満員電車に乗る必要がなくなった事です。
リモートワークで働く時間と会社で働く時間は同じなのに満員電車に乗らないだけで9時から12時までの業務時間の集中力がまるで違いました。
頭が冴えているというのか、満員電車のストレスを感じることなく仕事に臨めるという事が非常に生産性を高める要素であると感じました。
リモートワークのデメリット
リモートワークのデメリットとしては、やはりコミュニケーションが希薄になってしまう点です。
今はWebミーティングなどの便利なツールがありますが、やはり顔と顔を合わせて話をしないと伝わらない部分が多くあり、実際に起きた問題では意思疎通が不十分で本来は30分話せば伝わる事が1時間かかってしまった、などのコミュニケーションの部分では問題がありました。
リモートワーク成功のために重要なのは入念な準備
リモートワークを導入する上で大切なのは始める前の入念な準備であると思います。
特に重要なのが、
- 業務報告の仕組み
- コミュニケーションの仕組み
の準備です。
業務報告する仕組み、コミュニケーションの仕組みが十分に浸透しないままリモートワークを進めると必ず破綻することになると思います。
業務報告の仕組みがあれば、監視の必要はなく余計な不信感を抱くこともありません。
コミュニケーションの仕組みがあれば、メンバー間で意思疎通がとれず仕事にならないなんて問題も生まれません。
私たちのケースが幸運だったのは、感染予防の必要性という外的要因によってではなく、あくまでも従業員の側から声が上がったのをきっかけにリモートワークを開始したところです。
「いつまでにリモートワークを開始しなければならない!」という期限があるわけでもなく、じっくりと準備して段階的にリモートワークを拡大していくことができました。
IT系企業だったこと、また外国人のエンジニアの割合が高かったことも、リモートワークに移行しやすかった要因でした。
状況的に難しいケースもあるかもしれませんが、リモートワークは入念な準備をしてからスタートするのが理想的だと思います。